二物体の運動(質量比M:N)
質量が等しい場合については既に検討しているので、 質量が異なる場合にどうな
るかはある程度予想できます。質量の大きい物体の方が小さな円を描き、質量が
小さい物体の方が大きな円を描くという予想です(図1参照)。
ここで、大きな質量Mmを持つ物体をAとし小さな質量Nmを持つ物体をBとします。
したがって、Mm>Nmとなります。
では、 二つの物体AとBが等しい距離を保って、 安定して運動できる条件を求めて
みます。まず、物体Aに関しては次の関係(力のつり合い)が得られます。
M N m2G / (RA+RB)2=M m VA2 / RA
また、物体Bに関しては次の関係(力のつり合い)が得られます。
M N m2G / (RA+RB)2=N m VB2 / RB
そして、物体Aと物体Bの円運動の周期は等しくなるため、
2πRA / VA=2πRB / VB
が得られます。一番目の式と二番目の式の左辺は等しいので、
M VA2 / RA=N VB2 / RB
となります。三番目の式も整理して、
RA / VA=RB / VB
となります。これら四番目と五番目の式から、
RB / RA=M / N
が最終的に得られます。
地球の質量は月の質量の100倍ぐらいであり、地球・月間の距離が約38万kmあ
りますから、地球の円運動の半径は3800km程であることが判ります。 さて、この
半径をどうすれば実際に測定できるか考えてみてください。また、地球の速度の測
定はどうでしょうか!?これらの値に対する太陽の重力の影響はどれくらい!?
地球の質量の10万倍以上ある太陽に関して、 地球が太陽の周りを回っているの
か、 または、 太陽が地球の周りを回っているのかの地動説と天動説にも、 上記の
議論は明確な答えを与えていると言える ( 地球と太陽以外のすべての天体がこの
宇宙から消えたとしても)!?
上の例では、二物体が円軌道をとると仮定しました。では、円軌道以外にも解がある
かどうか考えてみてください。 例えば、 楕円軌道はどうでしょうか。その場合に軌道
的な制限事項はある!?