コーヒーブレーク(工作編)


 

電子工作ロボット工作に興味があり、今後、自分でトライしたいと思っている小

中高生の皆さんも少なくないと思いますが、 半田ごてや電子部品の取り扱いには

十分に注意を払ってください。使い方や取り付け方を間違うと、火傷や感電の事故

に繋がります。 必ず、 経験者の方と一緒に、アドバイスを受けながら工作を行って

ください。電池数本程度の電圧でも、 正極と負極を導線でショート短絡)すれば、

極めて大きな電流が流れ、導線自体が焼き切れるという事態になることもしばしば

あります。また、自作した電子回路では、一般の市販品と違って信頼性という観点

が抜け落ちていることが多く、長時間通電を続けた場合に、火事の原因になること

もあるかもしれません。 そういう使い方をする場合は、 常に監視できる態勢を取っ

ておくことが重要です。

 

(1)電子工作

(2)ロボット工作

 

工作の為の基本事項

 

電子部品

 

抵抗コイルそしてキャパシタなどの受動素子から、  ダイオードトランジスタ

などの能動素子そしてそれらを内部に多数持つIC( Integrated Circuit )まで、でき

るだけ式を使わずに簡単に説明しておきます。

 

まず最初は抵抗です。  小学校や中学校の理科の実験でも使った経験があると思

いますが、抵抗という素子は電流の流れを制限するためのものです。オームの法

を思い出してください。 抵抗の両端に加える電圧をV(ボルト)とすると、 抵抗を

流れる電流 I (アンペア)は以下の式で与えられます。

 

I=V / R

 

ここで、Rは抵抗素子の抵抗値を示しています。 ただし、謳われている抵抗の値と

実際の抵抗の値には僅かな違いがありますので、注意してください。 また、加えて

良い最大電圧や最大消費電力なども規定されていますので、素子の使用時には、

それらを守って使ってください。 それらの無視は、 抵抗素子の破壊の原因になりま

す。ちなみに、抵抗の単位はオームです。

 

次に、コイルについて説明します。 コイルは電圧の変動を抑えたい時に、使用しま

す。 直流電圧に対しては普通の導線のように働き、交流電圧に対しては抵抗のよ

うに働きます。交流電圧の周波数が上がれば上がるほど、その抵抗値は増加して

行きます。 コイルの単位はヘンリーになります。  知っている方もいると思いますが

、 二つのコイル同士を磁気的な結合効果を使ってトランスに変えることも可能です

。 これによって、一つの交流電圧をいろいろな値の交流電圧に変換することができ

るようになります。特に、電源回路ではトランスは必需品と言えます。

 

三番目は、 キャパシタです。キャパシタは電気を内部に貯める性質を持っています

。一種の電池であると考えても問題はありません。ただし、電子回路内で使われて

いる、一般的なキャパシタは電気の保持量が極めて小さく、電気店で売られている

電池(単1、単2、単3、単4のような電池)の代わりにはなりませんので、注意してく

ださい。コイルとは正反対に、直流電圧には極めて大きい抵抗のように働き、高周

波の交流電圧には抵抗がない導線のような働きをします。  キャパシタの単位は

ァラドです。

 

コイルやキャパシタは抵抗素子と異なり、 内部で電力を消費しません( 実際には、

素子内部の寄生抵抗熱エネルギーとして、 また電磁波を放って電磁エネルギ

ーとしてエネルギーを失いますので、電力を消費することになります)。 この点は大

きな違いになります。コイルやキャパシタの場合も、過電流や過電圧は素子の破壊

の原因になります。  素子表面に表示されている素子の値は、 抵抗と同様にあくま

でも目標値であって実際の値ではありません( 素子の製造工程を完全にコントロー

ルできないために、多少の製造上のバラツキが出てくる)。

 

では、 ダイオードについて説明します。  ダイオード自体は電気信号の増幅機能

持ちませんが、 構造としてPN接合からできておりトランジスタ技術のベースになっ

ています。 したがって、ここではダイオードを能動素子に含めました。 ダイオードの

基本的な特性は整流作用にあります。 P型( P型は半導体の種類 )の端子からN

型( N型も半導体の種類 )の端子に向かっては電流は流れますが、その逆方向に

は電流は流れません。 ただし、 かなりの高電圧を加えると逆方向にも電流が流れ

るようになります。これをブレークダウン電流と言います。 この作用は、 交流電圧

から直流電圧を作るときに役立ちます。

 

ダイオードの中には、電流を流すとを発するものもあり、これをLED(Light Emitti

ng Diode)と言います。 皆さんが使っている低消費電力タイプの懐中電灯や電気ス

タンドには、この種のダイオードが多数入っています。

 

能動素子の本命であるトランジスタについて説明します。トランジスタは二つのPN

接合からできています。真ん中に来る半導体がP型ならば、NPN型トランジスタに

なり、N型ならばPNP型トランジスタになります。どちらも電気信号を増幅する機能

を持っています。その増幅率は10ぐらいから数百という感じです。空気中を飛んで

くる微弱な電磁波を捉えて、 テレビやラジオで画像や音声を視聴するには、 このト

ランジスタの機能は重要だと言えるでしょう。 戦前は、トランジスタがまだ開発され

ていなかったので、   かなり大きなそして電力を食う三極菅などの真空管がこの役

割を果たしていました。最近では、低消費電力タイプのMOS(Metal Oxide Semicon

ductor)のトランジスタが市場の大部分を占めるようになっています。上記で挙げ

た三つの素子は構造も信号を増幅する原理も異なります。 興味がある方はいろい

ろと調べてみてください。これらの発明は20世紀の電子技術(多分、工学技術)に

おいて、決定的な役割を果たしたと言っても過言ではありません。

 

最後に、ICについて説明します。 ICは半導体基板上に、トランジスタ、ダイオード、

抵抗、キャパシタなどの素子( 最近は、コイルも )を多数作り込んだものです。最先

端のICでは、 何百万、 何千万の素子をいっぺんに載せたものもあります。 電子工

作では、 このうちの素子数が少ない標準品を使うことになります。 電子制御という

目的なら、 インバーターフリップフロップそしてコンパレータ―などのデジタル

Cを、 何か物理的な測定をしたいという目的なら、 オペアンプのようなアナログIC

を使うかもしれません。 ちなみに、 ロボットのような複雑な動きをさせるためには、

複数のマイクロプロセッサーメモリは必需品になります( ロボット用の各種セン

サーについては、ロボット工作の所で説明します)。

 

計測機器および付属機器

 

一番手頃な計測機器は、ホームセンターなどでも売っているテスターです。価格的

には、数千円から一万円前後になります。抵抗や電流そして電圧の値だけでなく、

キャパシタの容量の値や交流測定にも対応しているものもあります。自分が工作し

たいものに合わせて、テスターを選んでください。

 

電子工作に慣れてくると、回路内のいろいろな場所で電気情報を取りたくなります。

また、自作の電源や電池ではなく、もっと精度の高いしかも安定した可変電源が欲

しくなります。そういう方は、オシロスコープやより高性能なDC電源の購入を検討

してみてください。 ただし、これらの機器の新品は高額になるため、秋葉原の電気

街で中古品を探すというのも一つの選択肢になるかもしれません。

 

その他

 

半田ごてを使う場合の注意事項もまとめておきます。(1)使用後は、必ず半田ごて

のコンセントを抜く。 (2)手が濡れた状態では作業をしない。(3)半田付けを行うと

きは、窓を開けたり換気扇を回すなどして、常に空気の入れ替えを行う。一番目に

ついては、火傷や火災の防止になります。 二番目については、 感電の防止になり

ます。三番目については、半田の中に入っているペーストプリント基板に半田が

のり易くするためのワックス )が焼けるまたは蒸発したときに発生する、 煙や蒸気

を吸わないようにするためです。気になる方は、マスクなども使用してください。

 

銅板( 表面に薄い銅の層がある基板 )から、自分専用の基板をエッチング法で作

製しようとしている方は、 エッチング液の取り扱いには注意を払いましょう。 それら

の液は一種のです。 目に入ることは勿論、 手などの皮膚に付けばいろいろな傷

害の原因になります。手袋をはめるのは当然として、使用した容器の洗浄や置く場

所にも気を使ってください。 また、 廃液を無造作に排水溝に流すのも問題がありま

す。 少量ならば内容物を明記する名札を付けて鍵がかかる場所に保管し、量が増

えてきた場合は液を無害化(中和など)して廃棄しなければなりません。

 

冬場などは、摩擦で生じる静電気にも注意する必要があります。  基本的に、 電子

部品は静電気に弱く、人間の手がドアのノブや車のドアの引き手に触れたときに音

を立てて放電するような状態になっていると、 かなりの確率で部品にダメージを与

えることになります。 そういう場合は、 工作をする前にアース線を腕に巻くなどして

静電気対策を行ってください。また、静電気が発生し難くなるように、加湿器を室内

において室内の湿度を上げることも重要です。

 


 

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