楕円の周長の数値積分
楕円の周上にある複数の点を直線で結んで、 その長さをピタゴラスの定理を使っ
て計算しすべて足し合わせる方法で楕円の周長を求めてみます。 以下の楕円の方
程式をまずパラメータ表示すると、
楕円の方程式: X2/ 9+Y2/ 4=1
楕円のパラメータ表示: X=3 COS t Y=2 SIN t
長さを計算するやり方としては、 領域(X ≥ 0、Y ≥ 0)にある楕円の一部を求め、 そ
れを4倍することにします。 したがって、tの範囲は0度から90度になります。また、
点の数を増やせば増やすほど、計算の精度が上がることに注意してください。
それでは、楕円の周長を計算するプログラムを次に示します。 十進BASICを使っ
て作成しています。
短径と長径の長さを共に2とすれば、半径1の円となります。 その周長は、当然、2
πになります。 プログラムのチェックにもなるので、 楕円の周長を計算する前に、半
径1の円の円周の長さを計算してみてください。 ちなみに、長径が6、短径が4の楕
円の周長は、15.87となります。点の座標値は1度刻みで計算しました。
長楕円になるほど、 2周長/(短径+長径)がπの値から大きくずれてくることを確
認してみてください。 短径が0、長径が無限大になる極限では、上記の値は当然、
4に近づくことになります。
上で行った計算は、線分近似(線積分とも言う)を使った計算ですが、曲線の長さを
求める一般公式を使っても計算できます。楕円の式の両辺を微分すると、
2XdX/9+YdY/2=0
ゆえに、
dY/dX=−4X/9Y
となります。したがって、一般公式から、
L=4∫(1+16X2/81Y2)1/2 dX
となります。ここで、積分の範囲はXが0から3までです。次に、パラメータ表示を使っ
て、積分式を変数変換してみます。
L=4∫(1+4 COS2t/ 9 SIN2t)1/2(−3 SINt)dt
=−4∫(9 SIN2t+4 COS2t)1/2 dt
となります。ここで、積分範囲はtが90度から0度までです。 この積分式を数値計算
するときは、ラジアンに直してから計算してください。