円周率を求める
円周率を近似的に計算してみましょう。 まず最初に考えられるのは内接する正三
角形の周の長さで近似することです。円の半径をRとすると、正三角形の周の長さ
は図1から判るように、3ルート3・Rとなります。 したがって、近似的な円周率は3
ルート3/2となり、数値的に、2.598となります。
<∠BOH=60°、BC⊥OH → OB:BH:HO=2:ルート3:1>
(Functionviewで作成)
次に、内接する正四角形で近似した場合ですが、正四角形の周の長さは図2から
判るように、4ルート2・R となります。近似的な円周率は2ルート2となり、数値的
に、2.828となります。
<∠BOH=45°、BC⊥OH → OB:BH:HO=ルート2:1:1>
(Functionviewで作成)
同様に正十二角形を使うと、近似的な円周率は6・(ルート3−1)/ルート2となり
、数値的に、3.106となります(図形的な近似計算に興味がある受講生の方は以
下のリンクに飛んでください)。
つまり、近似する正多角形の角数を増やせば、近似的に計算される円周率はどん
どん真の円周率の値( 3.1415・・・)に近づいて行くことになります。 高校の数学
2で習う三角関数を使えば、円周率の近似値はN・SIN(180度/N)で与えられま
す(図3参照)。ここで、Nは正多角形の角数です。
<∠BOH=180°/ N、BC⊥OH>
(Functionviewで作成)
十進BASICのプログラムとそれを使って数値計算したものを以下に示します。
思った以上に収束性が悪く、角数でいうと二百何十角まで行かないと3.1415レ
ベルの円周率を得られません。以下に、角数25までの計算結果を示します。
この結果から、小学校のゆとり教育で採用されていた円周率の値、3は正六角形
の近似値であったことが判ります。そういう意味では、まったく根拠がない数字を教
科書に載せていた訳でもなさそうです( 小数点以下は覚えにくいから、 えいやーと
削除したという話もあります。 もし、そうだとすると、ちょっと数学的なセンスがなさ
過ぎる!?)。
世界では、スーパーコンピュータを使って何億桁・何兆桁と円周率を計算している
研究者がいますが、皆さんはそこまでやる必要はありません。但し、コンピュータの
計算精度を超えて円周率を求めるその数学的な手法を考えてみることは、 皆さん
にとって有益であるかもしれません。
最後に、 高校で習う数学3の極限を使って円周率の近似値がπになることを確認
してみましょう。 ここで角度はラジアンで表現しています。Xが0に限りなく近づくと
き、SINX / X が1に限りなく近づくことに注意してください。
Lim N SIN(π/ N)=πLim SIN(π/ N)/ (π/ N)=π (N→∞)
また、高校の数学3で習う極座標で円を表すと、以下の式になります(図4参照)。
円の方程式: X2+Y2=R2
極座標変換: X=R COSθ Y=R SINθ
<OP=R、∠POH=θ、PH⊥OH>
(Functionviewで作成)
円周率と三角関数の深い繋がりの話は、 とりあえずここまでとしておきます。 正五
角形、正六角形そして正八角形の図形的な近似値の計算については、 受講生の
ための課題として置きます。できるかどうか、トライしてみてください。
以上までの議論では、 円周率の計算において内接する正多角形を使いましたが、
外接する正多角形 を使っても円周率を近似計算できます。 角数がNの場合の円
周率の近似式を求めてみてください。 外接する正三角形、正四角形、正五角形、
正六角形、 正八角形 、 正十二角形で近似した場合の円周率の値はどうなります
か!?もし可能ならば、無理数を含む形で表してください(図5、6、7参照)。
<外接する正三角形>
(Functionviewで作成)
<外接する正四角形>
(Functionviewで作成)
<外接する正六角形>
(Functionviewで作成)
課題(その1)
コンピュータの計算精度を超えて円周率を計算する為の方法を議論してください。
円周率の小数点以下第百位、第千位、第万位の数字を求めてください。