梯子型の無限抵抗の計算
前のページの梯子型抵抗の計算で得られた結果から、Rの前の係数は、
1/1、3/4、11/15、41/56、・・・
となっています。上記の分数の分子と分母に注目すると、
A1=1、A2=3、A3=11、A4=41、・・・
B1=1、B2=4、B3=15、B4=56、・・・
という{AN}と{BN}の二つの無限数列が得られます。
これらには共に次のような関係があることが推測できます。
AN=4AN−1−AN−2、BN=4BN−1−BN−2
まず、{AN}の一般項を求めることを考えます。PとQを使って以下のような式を作り
ます。
AN−PAN−1=Q(AN−1−PAN−2)
→ AN=(P+Q)AN−1−PQAN−2
これを一つ上の式と比較して、
P+Q=4、PQ=1
→ P(4−P)=1 → (P−2)2=3 → P=2+ルート3、2−ルート3
従って、
Q=2−ルート3、2+ルート3
P=2+ルート3とQ=2−ルート3の組み合わせから、
AN−(2+ルート3)AN−1=(2−ルート3)N−2{A2−(2+ルート3)A1}
→ AN−(2+ルート3)AN−1=(2−ルート3)N−2(1−ルート3)
が得られます。但し、Nは3以上です。同様に、P=2−ルート3とQ=2+ルート3の
組み合わせから、
AN−(2−ルート3)AN−1=(2+ルート3)N−2(1+ルート3)
勿論、Nは3以上です。これら二式の両辺に関して引き算をすると、
−2ルート3 AN−1=
(2−ルート3)N−2(1−ルート3)−(2+ルート3)N−2(1+ルート3)
{BN}の一般項も同じようにして、
−2ルート3 BN−1=(2−ルート3)N−1−(2+ルート3)N−1
よって、抵抗Rの係数の一般式が
AN/BN={(2−ルート3)N−1(1−ルート3)−(2+ルート3)N−1
(1+ルート3)}/{(2−ルート3)N−(2+ルート3)N}
と判ります。結論として、無限に抵抗が並んだ梯子型抵抗の抵抗値は、
RN=2R+ANR / BN
において、Nを無限に大きくした時の極限値となります。 (2−ルート3)Nの項は括
弧の中の値が1より小さいので、Nを無限大にすると0に収束します。ゆえに、
R∞ → 2R+(1+ルート3)R/(2+ルート3) (N→∞)
が得られます。