7-4.人工冬眠


 

人工冬眠に関する書籍

Hibernation

Artificial Hibernation

Meditation

Hypometabolism

Suspended Animation

Cryopreservation

 

 

生理活動のレベルを大幅に下げて、 餌が少なく寒さが厳しい冬季を巣の中で冬眠

して凌ぐ野生動物の数は少なくありません。栗鼠などもこの種の動物に属しま

す。  さて、 人間も化学的な物質の使用や周囲環境を変えることで冬眠状態になる

のでしょうか。 もし、この人工冬眠の技術が可能になれば、いろいろなメリットが出

てきます。例えば、火星などへの惑星探査です。 地球から火星への往復には数年

の時間を要します。ロケットのサイズもあまり大きくできませんし、ロケットの内部は

燃料で大部分を占められます。 したがって、 食料の積載量も限定されることになり

ます。  ロケット内に人工冬眠のための装置があれば、 少なくても航行中の食料は

大幅に削減できることになります。 また、 宇宙環境の人体への影響の最小化

も寄与するかもしれません(骨の組織からのカルシウムの損失防止など)。

 

次に、人工冬眠の装置を一種のタイムマシーンとして利用することを考えてみまし

ょう。タイムマシーンには二種類あります。SF映画などに出てくるタイムマシーンは

物理的な時間をコントロールする装置です。 一方、上記の冬眠装置は生物学的

な時間をコントロールする装置です。  勿論、 後者は未来への時間旅行しかでき

ません。理想的には、千年以上継続して稼働できる人工冬眠の装置が目標になり

ますが、第一段階として、10年程度動く装置があればいろいろと実験はできます。

類人猿を使った実験にある程度成功できれば、 多分、 人間にも適用できると思い

ます。 ただし、 生理活動の低下と老化現象との関係を十分に研究しておく必要は

あります(冷凍保存ならば、一万年でも十万年でも保存できる!?)。

 

古代生物の永久保存

 

それでは、人工冬眠の実験をするための条件を考えてみましょう。冬山で遭難して

生還した人の中には、一種の冬眠状態に陥ったと思われる例もあるようです。そう

いう事例を医学的に調べてみれば、  ある程度 条件は見えてくるかもしれません。

特に、体温の時間的なプロファイルが重要になります。一般的に言って、30度

大きく下回ると命にかかわり、 冬眠の理想的な温度とされる10度前後まで下げら

るかどうかが当面のハードルになってきます。  冬眠継続時間の延伸冬眠中の

栄養補給や老廃物の処理などは次の課題と言えます。

 

<体温調整>

 

 

<外気調整>

 

 

<外部刺激>

 

 

<薬物投与>

 

 

以上は、 人間の現在の生理的条件を尊重したやり方ですが、 どうしても解が見つ

からない場合は、積極的に人体を改造するというやり方もあります。

 

冬眠可能なGM的新人類

 

知的生命体が宇宙空間に進出する上で、冬眠に適した生理条件を満たしているか

一つの大きな要素と考えられます。 したがって、人間のような恒温生物ではなく

、体温を環境に応じて自由に変えられる変温生物的な知的生命体の方が宇宙へ

適応し易いかもしれません。つまり、爬虫類昆虫みたいな宇宙人が多い?

 

最後に、この技術の評価をしてみます。長期的な有人宇宙探査の効率化と安全

性の向上病状の進展を抑えた延命装置や未来へのタイムマシーンとしての

可能性を考慮すると、

 

宇宙開発 -> 貢献大

医療改善 -> 貢献大

産業創出 -> 貢献大

 

となります。当然、長期的に見ると経済的な利益も莫大なものになると予想されま

す。

 

 

 


 

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