曲面の面積の積分(一般式)
曲面の面積を計算する積分の一般式を求めてみましょう。簡単な例として、球の表
面を使って考えてみます( 図1参照 )。 考え方は、曲線の長さを計算する積分の一
般式のところで使った曲線の線分による近似とほぼ同じものになります。 ただし、
面積の計算ではX方向とY方向の二つの方向で近似を行います。
曲面の式: Z=F(X、Y)
X方向のZ値の変化量: ΔZ=FX ΔX (近似)
Y方向のZ値の変化量: ΔZ=FY ΔY (近似)
上の二式において、 FXとFYはZ=F(X、Y)をXとYについて偏微分したものです。
球の場合には、FXとFYは次のようになります。
球の式: X2+Y2+Z2=R2
FX=−X / Z FY=−Y / Z
EF→ΔX EH→ΔY
(Functionviewで作成)
それでは、曲面上の微小な面積ABCD、ΔSを求めてみましょう。これを四角形AB
CDで近似します。四角形ABCDの面積はベクトルの外積を使って、
ΔS=| AB X AD | (近似)
となります。ここで、AB とAD の成分表示は以下のようになります。
AB =(ΔX、0、FXΔX) AD =(0、ΔY、FYΔY)
→AB X AD =(−FXΔXΔY、−FYΔXΔY、ΔXΔY)
したがって、上記のΔSは、
ΔS=(1+FX2+FY2)1/2 ΔXΔY
となります。これらの微小な面積をすべて足し合わせると、
S=∫∫(1+FX2+FY2)1/2 dX dY
となり、曲面の面積を表す積分の一般式(二重積分)となります。
球の表面を含めて、 多くの曲面に関して上記の積分を解析的に行うのはそれほど
簡単ではないので、 曲面の特殊な例である傾いた平面で積分を計算してみます(
図2参照)。
平面の式: X+Y+Z=1
(Functionviewで作成)
この例では、FX=−1であり、FY=−1であるので、
S=(3)1/2∫∫dX dY=(3)1/2/ 2
積分の範囲は、Xが0から1までであり、Yが0から1−Xまでとなります。 上記の値
は一辺の長さがルート2の正三角形の面積と同じものとなっています。
半径が1の球の場合は、
S=∫∫ dX dY / (1−X2−Y2)1/2
となり、積分の範囲はXが0から1までであり、Yが0から(1−X2)1/2までとなりま
す。この積分の数値計算を行うときは、球の赤道近辺で勾配がきつくなるので注意
してください。あまり赤道近辺まで近付き過ぎると、誤差が大きくなって解の収束性
が悪くなります。