ネット変形型の抵抗の計算


 

抵抗値の上限を評価するために、抵抗網の一部のみを考慮した場合の計算を行い

ます(図1参照)。この場合、3Rの抵抗が並列に接続された形になっています。よっ

て、点Aと点Bから見たときの抵抗値ABは、

 

AB=1/(1/3R+1/3R)=3R/2

 

となります。

 

<抵抗値は全て

NET-HENKEI-TYPE-TEIKOU-KEISAN-1.GIF - 6,910BYTES

(図1、十進BASICによる2Dグラフィックス)

 

それでは、 もう少し抵抗の数を増やして抵抗値を計算します(図2参照)。 電流が流

れる経路が増加するので、 RABの値も当然小さくなります。 各部を流れる電流を回

路の対称性を利用しつつ分類します。

 

=IAC=IAE=IDB=IFB

=IAG=IHB

=IGI=IGK=IIC=IKE=IDJ=IFL=IJH=ILH

=ICD=IEF

 

点Aと点Bの間を流れる全電流を とすると、

 

I=2I+I、I=2I、I+I=I

 

が得られます。また、点Aと点Cの間の電圧を考えると、

 

R=IR+2 IR → I=I+2 I

 

これらの四つの式を連立方程式として解いて、

 

=2 I/5、I=I/5、I=I/10、I=I/2

 

を得ます。

 

<抵抗値は全て

NET-HENKEI-TYPE-TEIKOU-KEISAN-2.GIF - 9,707BYTES

(図2、十進BASICによる2Dグラフィックス)

 

ゆえに、点Aと点Bの間の電圧ABは、

 

AB=2(2 I/5)R+(I/2)R=(4 I/5+I/2)R=(13 I/10)R

=(13R/10) I

 

となり、点Aと点Bから見た抵抗の値は13R/10であることが判ります。 この値が

を下回るかどうかを検討してみます。 図2の回路にさらに14個の抵抗を追加すると

、図3のような回路になります。

 

<抵抗値は全て

NET-HENKEI-TYPE-TEIKOU-KEISAN-3.GIF - 12,061BYTES

(図3、十進BASICによる2Dグラフィックス)

 

回路の対称性に注意し、各部を流れる電流を分類します。

 

=IAC=IAE=IDB=IFB

=IAG=IHB

=IGI=IGK=IJH=ILH

=IIC=IKE=IDJ=IFL

=IIQ=IKS=IQM=ISO=INR=IPT=IRJ=ITL

=ICM=IEO=IND=IPF

=ICD=IEF

=IMN=IOP

 

点Aと点Bの間に流れる全電流を とすると、  各部を流れる電流には次のような関

係があります。

 

I=2 I+I、I=2 I、I=I+I、I+I=I+I、I+I=I

 

また、点Aと点Cの間に加わる電圧ACから、

 

AC=IR=IR+IR+IR → I=I+I+I

 

そして、点 I と点Mの間に加わる電圧IMから、

 

IM=2 IR=IR+IR → 2 I=I+I

 

さらに、点Cと点Dの間に加わる電圧CDから、

 

CD=2 IR+IR=IR → 2 I+I=I

 

以上の八つの式を連立方程式として解くと、

 

=17 I/44、I=5 I/22、I=5 I/44、I=I/22、I=3 I/44、I=I/11

=15 I/44、I=7 I/44

 

が得られます。従って、点Aと点Bの間の電圧ABは、

 

AB=2 IR+IR=(17 I/22+15 I/44)R=(49 I/44)R

=(49R/44) I

 

となり、 点Aと点Bから見た抵抗の値は49R/44となります。 ネットに接続される抵

抗の数が増えると抵抗値がRに徐々に近付いて行くことが予想されます。

 

課題(その1)

 

図3の回路を一回り及び二回り大きくして抵抗値RABを計算してください。

 

課題(その2)

 

抵抗値RABが最終的にRに収束することを証明してください。無限数列のテクニック

を使っても良いですし、その他の方法で証明しても構いません。

 

課題(その3)

 

同じ抵抗値を持つ抵抗素子を使って図3の回路を組んでください。 さらに、電源を用

いて端子Aと端子Bの間に電圧を加えて その端子間に流れる電流を測定してくださ

い。電圧と電流の関係をグラフにしその勾配からRABを計算してください。

 

注意:抵抗素子には許容電力があります。これを超えると発熱ダメージの原因に

なります。また、電源の取り扱いにも注意してください(感電など)。

 

 


 

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