二重振り子の問題
一般的な振り子の重りの先に、 もう一つの振り子が付いている場合を考えましょう。
<糸の長さと重りの質量がそれぞれ等しい例>
(図1、二重振り子)
水平方向(右向き)をX軸の+方向、垂直方向(下向き)をY軸の+方向とします。 上
側の振り子の重りの重心座標を(X1、Y1)、下側の振り子の重りの重心座標を(X2
、Y2)とします。また、問題を一般化するため、上側の糸の長さをL1そして重りの質
量をM1、 下側の糸の長さをL2そして重りの質量をM2と置いて考えます。 さらに、
上側の糸に働く張力をT1、下側の糸に働く張力をT2、重量加速度をGとしています
。まず、X1、Y1、X2、Y2、θ1、θ2の関係式として、
X1=L1 SINθ1 Y1=L1 COSθ1
X2=X1+L2 SINθ2 Y2=Y1+L2 COSθ2
の四式が得られます。次に、運動方程式を考えます。上側の重りに関する運動方程
式は、
上側(X方向)->M1・(d2X1/ dt2)=−T1SINθ1+T2SINθ2
上側(Y方向)->M1・(d2Y1/ dt2)=M1G−T1COSθ1+T2COSθ2
また、下側の重りに関する運動方程式は、
下側(X方向)->M2・(d2X2/ dt2)=−T2SINθ2
下側(Y方向)->M2・(d2Y2/ dt2)=M2G−T2COSθ2
となります。 これで、X1、Y1、X2、Y2、T1、T2、θ1、θ2の八つの未知数に対して
八つの式が得られました。 これらを解析的に解くのは難しいので、初期条件を入れ
て数値的に解くことになります。
問題を簡単化するために、単純な振り子と同様にθ1とθ2は十分に小さいとします
。すると、最初の四式は以下のようになります。
近似
X1=L1θ1 Y1=L1 X2=X1+L2θ2 Y2=Y1+L2
-> X1=L1θ1 Y1=L1 X2=L1θ1+L2θ2 Y2=L1+L2
これらの式を運動方程式に代入すると、
近似
上側(X方向)->M1L1・(d2θ1/dt2)=−T1θ1+T2θ2
上側(Y方向)->0=M1G−T1+T2
下側(X方向)->M2{ L1・(d2θ1/dt2)+L2・(d2θ2/dt2) }=−T2θ2
下側(Y方向)->0=M2G−T2
二番目の式と四番目の式を解くと、T1=(M1+M2)GとT2=M2Gが得られます。
これらの値を一番目の式と三番目の式に代入して、
近似
M1L1・(d2θ1/ dt2)=−(M1+M2)G θ1+M2G θ2
M2{ L1・(d2θ1/ dt2)+L2・(d2θ2/ dt2) }=−M2G θ2
が得られます。 さらに、L1=L2=LそしてM1<<M2=Mを仮定すると、一番目の
式はM1に関する項が消えてθ1=θ2(=θ)となります。 この結果を二番目の式
に代入して、
2ML・(d2θ/ dt2)=−MG θ(近似)
つまり、長さが2Lの単純な振り子のように振舞います(極めてリーズナブルな結果
)。
課題(その1)
L1=L2=LそしてM1>>M2の逆の場合にはどうなるかを考えてください。 勿論、
θ1とθ2は十分に小さいとします。
課題(その2)
L1=L2=LそしてM1=M2=Mの場合について、元の連立微分方程式を数値的
にフルに解いてください。 もし可能ならば、 計算結果を使って二重振り子のアニメー
ションを作成してください。θ1とθ2が十分に小さいと仮定した場合と比較してくださ
い。