正十二面体の表面積・体積・半径


 

正十二面体の表面積、体積そして半径(内接円と外接円)を計算する前に、を利

用して正十二面体を形成することを考えましょう。 正多面体の一つの頂点に対して

三つ正三角形四つの正三角形が集まる形だと、それぞれ、正四面体正八

面体にしかならないので、五つの正三角形が集まるようにします(図1参照)。 ただ

し、この条件から求まる正多面体が必ずしも正十二面体になるとは限りません。

 

<点Aに五つの正三角形が集まる場合>

SEITAMENTAI-KYUU-1.GIF - 5,539BYTES

(図1.Functionviewで作成)

 

上図から、正三角形の一辺の長さをとしたときの外接球の半径の長さを求めてみ

ます。 点Oは球(青)の中心で、この球は点A、点B、点C、点D、点Eそして点Fで構

成される正多面体の部分面に外接します。点Pは球面上にある(緑)の中心で点

B、点C、点D、点E そして点Fを直線で連結してできる正五角形に外接します。  当

然、点Pは線分OA上にあることに注意してください。  角CPDの大きさは72度です

。CP=DPを考慮すると、CP=DP=1/(2 SIN36°)となります。また、CP

Aから、  直角三角形APCの各辺の長さにピタゴラスの定理を適用してAPの長さ

を求めると、

 

AP={ 1−1/(2 SIN36°)1/2

 

同様に、直角三角形CPOの各辺の長さにピタゴラスの定理を適用して、

 

OC=CP+PO

→ R=CP+(R−AP)

 

が得られます。ここで、OA=OC=(外接球の半径)です。 CPとAPの値を上式に

代入してRの値を求めると、

 

R={(SIN36°)/(4 SIN36°−1)}1/2

 

が得られ、これを数値計算すると 0.95 になります。

 

それでは、 図1の球に内接する正多面体がどのようなものになるかをさらに考えて

みます。図2は、図1にX-Y-Zの座標軸を加えて、点Bに集まる五つの正三角形を

考えるための円(ピンク)も加えています。

 

SEITAMENTAI-KYUU-2.GIF - 6,074BYTES

(図2、Functionviewで作成)

 

上図において、 外接球の中心を原点として点AはX軸上に取っています。 点Aから

点Fまでの座標値は、A=(R、0、0)、B=(P、Q、0)、C=(P、Q COS72°、QS

IN72°)、D=(P、Q COS144°、Q SIN144°)、E=(P、Q COS216°、QS

IN216°)、F=(P、Q COS288°、QSIN288°)となります。はOPの長さで、

はDPの長さです。

 

円(ピンク)周上にある三点、  点A、 点Cそして点Fの座標値は上記のように与えら

れているので、 他の二点の座標値を求めることを考えます。 点Bと点Fから等距離

にある点を点G、点Bと点Cから等距離にある点を点Hとします。 これらの点の座標

値は以下の関係式から計算できます。

 

点G → BG=FG=1OG=R

点H → BH=CH=1OH=R

 

ここでは、 上記の条件を満足するように球座標のθとφをプログラム的に求める

ことで座標値を計算します。以下に、その十進BASICのプログラムを示します。

 

PROGRAM-SEITAMENTAI-CHOUTEN-KEISAN-1.GIF - 9,804BYTES

PROGRAM-SEITAMENTAI-CHOUTEN-KEISAN-2.GIF - 2,841BYTES

 

上記のプログラムを使って未知の頂点の座標値を求める場合に、  IF文条件設

のし方によって複数個の解が得られることがあります。 そのときには、条件設定

最適化してください。図3に、点Gと点Hの位置を示します。

 

SEITAMENTAI-KYUU-3.GIF - 6,888BYTES

(図3、Functionviewで作成)

 

同様に、 他の頂点も求めていくと最終的に図4のような正多面体(正二十面体)に

なります。

 

SEITAMENTAI-KYUU-4.GIF - 5,902BYTES

(図4、Functionviewで作成)

 

上記の正二十面体の各頂点の座標値を球座標のθとφを使って表すと以下のよう

になります(全部で12頂点)。  SIN関数COS関数内の角度の一部は近似値

す。角度を示す記号(°)は省略しています。

 

点A →(R COSSIN90、R SINSIN90、R COS90

点B →(R COS64 SIN90、R SIN64 SIN90、R COS90

点C →(R COS32 SIN32、R SIN32 SIN32、R COS32

点D →(R COS302 SIN58、R SIN302 SIN58、R COS58

点E →(R COS302 SIN122、R SIN302 SIN122、R COS122

点F →(R COS32 SIN148、R SIN32 SIN148、R COS148

点G →(R COS122 SIN122、R SIN122 SIN122、R COS122

点H →(R COS122 SIN58、R SIN122 SIN58、R COS58

点 I →(R COS212 SIN32、R SIN212 SIN32、R COS32

点J →(R COS244 SIN90、R SIN244 SIN90、R COS90

点K →(R COS212 SIN148、R SIN212 SIN148、R COS148

点L→(R COS180 SIN90、R SIN180 SIN90、R COS90

 

正二十面体の面数を超える正多面体は存在しませんが、これは頂点に集まる正多

角形の数を考えれば判ります。 面が正三角形の場合は、面が六つ集まると完全な

平面になってしまいます (立体的な面を構成できない)。 面が正四角形の場合も同

様で、面が四つ集まると平面になります。

 

課題(その1)

 

角数が以上の正多角形正多面体を形成できますか?  もし、できないとすると

その理由はなんですか?

 

 

さて、このページの本来の目的である正十二面体をどうすれば構成できるかを考え

てみましょう。その前に、正多面体の面形状頂点数辺数をまとめて置きます。

 

正四面体 ( 正三角形、頂点数→、辺数→6

正六面体 ( 正四角形、頂点数→、辺数→12

正八面体 ( 正三角形、頂点数→、辺数→12

正十二面体 ( 、頂点数→?、辺数→

正二十面体 ( 正三角形、頂点数→12、辺数→30

 

正多面体の一つの頂点に集まる正三角形や正四角形の数は、  既に正四面体(正

三角形が三つ)・ 正六面体(正四角形が三つ)・ 正八面体(正三角形が四つ)・正二

十面体(正三角形が五つ)で全て網羅されているので、正多面体を構成する面の形

として正五角形を新たに検討してみます。 また、 正多面体の対称性から正二十面

体の頂点方向(12の方向)はそのまま正十二面体の面の方向と考えて問題はない

はずです。  図5は球面上で隣接する二つの正五角形を示したものです。 正五角形

の一辺の長さはとしています。

 

<点AはX軸上にある>

SEITAMENTAI-KYUU-5.GIF - 5,819BYTES

(図5、Functionviewで作成)

 

上図において、 点Aと点Bは二つの正五角形の外接円の中心です。 また、 点Oは

正多面体の外接球および内接球の中心です。 そして、 点Cは点A(または点B)か

ら線分12に垂線を引いたときの交点です。 まず、外接球と内接球の半径を求める

ことを考えます。 角AOBの大きさは、 正二十面体の隣接する頂点と球の中心を結

んでできる角の大きさと等しくなります。したがって、

 

COS(∠AOB)=PR / R=P / R

→ ∠AOB=63.4°(近似)

 

そして、A2とACの長さは、

 

A2=1/ (2 SIN36°)

AC=(COS36°)/(2 SIN36°)=1/(2 TAN36°)

 

となります。これらの値を使って半径を計算すると、

 

半径(内接球): 1/(2 TAN31.7°TAN36°)

 

半径(外接球): (1/4 SIN36°+1/4 TAN31.7°TAN36°)1/2

 

が得られます。正二十面体の各頂点を求めたプログラムと同様なプログラムを作っ

て正十二面体の各頂点を求めると、

 

点1 →(THETA=31.7、PHI=111.5

点2 →(THETA=31.7、PHI=68.5

点3 →(THETA=345.9、PHI=55.2

点4 →(THETA=322.6、PHI=91.2

点5 →(THETA=345.9、PHI=124.8

点6 →(THETA=77.5、PHI=55.2

点7 →(THETA=101.3、PHI=90.0

点8 →(THETA=77.5、PHI=124.8

点9 →(THETA=299.2、PHI=22.2

点10 →(THETA=299.2、PHI=157.8

点11 →(THETA=124.2、PHI=22.2

点12 →(THETA=124.2、PHI=157.8

点13 →(THETA=256.8、PHI=56.7

点14 →(THETA=166.6、PHI=56.7

点15 →(THETA=280.5、PHI=91.8

点16 →(THETA=143.4、PHI=91.2

点17 →(THETA=256.8、PHI=123.3

点18 →(THETA=166.6、PHI=123.3

点19 →(THETA=211.7、PHI=109.9

点20 →(THETA=211.7、PHI=70.1

 

となります。これらの角度の値には、多少の計算誤差が含まれているので注意して

ください(度の記号は省略)。図6はこれらの点を3D的に作図したものです。

 

<頂点数→20、辺数→30

SEITAMENTAI-KYUU-6.GIF - 5,661BYTES

(図6、Functionviewで作成)

 

最後に、 正十二面体の表面積体積を計算します。 表面積は五つの合同二等

辺三角形の面積1/(4 TAN36°)の和になる正五角形の面積を考慮して、

 

表面積: 15/(TAN36°)

 

上の結果を使って、五角錐の体積を計算してそれを12倍すると、

 

体積: 5/(2 TAN31.7°TAN36°)

 

ちなみに、正六角形を一つの頂点に三つ集めると平面になってしまうので、正多面

体を形成することはできません(角数が7以上の正多角形でも正多面体を形成でき

ない)。

 

課題(その2)

 

三角関数を無理数で表現することで、 正十二面体の表面積と体積がウィキぺディ

(日本語版)の答えのようになることを確認してください。

 

 


 

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