正四面体の展開図
正四面体の展開図を考える場合、 各辺は一番目の切れ込みを入れる上で等価
であるので( 最初はどの辺を選んでも同じです)、二番目の切れ込みから考察しま
しょう。 まず、 一番目の切れ込みと繋がるように二番目の切れ込みを入れる事を
考えます。 この場合は、正三角形の二辺、ADとCDを選ぶことになります(図2−2
)。どの正三角形の二辺を選んでも等価です。
ピンクのラインが切れ込みを入れる部分です。 では、三番目の切れ込みを入れる
ことを考えます。 選択肢としては、中央の点Dか両端の点Aまたは点Cということに
なります。 点Dを選んで辺BDに三番目の切れ込みを入れると図2−1の展開図に
なります。 次に、 点Aまたは点Cを選んで辺ABまたは辺CBに三番目の切れ込みを
入れると、以下の図のような展開図となります(図2−3)。三角形ADCを完全に切
り離すことになる、辺ACへの切れ込みは三番目の選択肢とはなりません。
最後に、一番目と二番目の切れ込みを繋がらないようにした場合は、三番目として
どの辺を選択しても結果としてできる展開図は上図の図2−3のようになります。つ
まり、正四面体の場合は、二種類の展開図が存在します。
課題(その1)
正四面体の各頂点と各辺の結線情報をファイルから読み込んで、 可能な展開図を
探索し全ての異なる種類の展開図を描画するプログラムを作成してください。回転
または裏返したときに、同じ図形になる展開図を同一視するアルゴリズムを考える
のは少し難しいかもしれません。
上の結果を、数学のトポロジー(位相幾何学)的な観点から少しまとめてみます。
立体の展開図を作る上で重要な面数と辺数を確認しておきます。正四面体の場合
、面数は 4 で辺数は 6 です。 展開図では、四つの正三角形が必ず繋がっていな
ければならないので、少なくても三辺は切り離すことができません。 したがって、展
開図を作るためには、三辺を切り離すことになります(一辺または二辺だけでは、
展開図にはならない)。切り離しのパターンとして、以下の二つがあることに注意し
てください (太線の部分が切り口になる線)。 トポロジー1は点Dを起点に他の三
点に繋がっています。一方、トポロジー2は四点が一列に並んで繋がっています。
ちなみに、 切り口のトポロジーとして一つの面を完全に切り離すことになるループ
型のトポロジーは選択できません(図2−4)。
<トポロジー1は図.2−1に、トポロジー2は図.2−3に対応する>
(図.2−4、Functionviewで作成)
上図において、赤線(実線または点線)は隠れていて見えない線です。
まだ確定したものではありませんが、 切り口のトポロジーを探す方法として以下の
ポイントが重要になってきます。 これらの点が正しいかどうか、 正六面体や正八
面体を使って確認してみてください(特に、一番目に関して)。 他にも見落としてい
るポイントがあるかもしれません。
(1)切り口を入れる辺の数は、辺数−(面数−1))である
(2)切り口のトポロジーとして、ループを含んではいけない
上記のポイントを確認するために、 切れ込みを四つ入れたときのトポロジ―も示し
ておきます。この場合、トポロジーとして二種類あることが判ります。トポロジー3と
トポロジー4です(図2−5)。 共に、トポロジーの中にループを持っていることが判
ります。 トポロジー3では(2+2)という形で分割され、トポロジー4では(3+1)と
いう形で分割されます。明らかに、展開図にはなっていません。
<切れ込みを四つ入れたときのトポロジー>
(図.2−5、Functionviewで作成)
最後に、トポロジー1に新たな切れ込みを追加したときには、 トポロジー4のタイプ
しかできないのに対して、トポロジー2の場合には、トポロジー3とトポロジー4の二
種類ができることに注意してください。 前者では残りの三辺は等価ですが、後者で
は等価ではありません。