二物体の運動(質量がほぼ同じ)
今までは、一方の物体(天体でも良いですが)がもう一方の物体に比べて、質量が
格段に大きい例を扱ってきました。 では、 物体の質量がそんなに変わらない場合
はどうなるかを考えてみましょう。当然、前の例とは異なり、小さい方の物体が大き
い方の物体の周りを単純に円運動(または楕円運動)するという感じにはなりませ
ん。
問題を簡単にするために、 ここでは同じ質量を持つ二つの物体が存在すると仮定
します。 その質量をmとし、 それぞれの物体にAとBという名前を付けることにしま
す。この二つの物体間には万有引力が働いています。 もし、この力しかなければ、
二つの物体は互いに引き合って最終的には衝突することになるでしょう。
さて、 二つの物体が等しい距離を保って安定して運動できる解はあるのでしょう
か。 答えを先に言ってしまうと、 YESです。 物体Aの中心と物体Bの中心を結ぶ線
分を考えてください。この線分の真ん中を運動の中心とします。二つの物体がこの
点を中心に円運動すれば、見かけの力として遠心力 mV2/R が働き、引力とつり
合って運動自体が安定すると思われます。 Vは円運動の速度であり、Rは円運動
の半径です。
次に、安定するための条件を求めてみましょう。 AとBはまったく同じものなので、A
についてだけ条件を考えます。力のつり合いの条件から、次の関係が得られます。
m2G / 4R2=mV2/ R
上式において、Gは万有引力の定数です。
したがって、速度と半径の関係は以下のようになります。
V=( mG / 4R )1/2
物体の質量と円運動の半径が決まると、それに必要な速度も決まることになります
(図1参照)。
一方の物体の質量がもう一方の物体の質量の二倍になっている場合は、 それぞ
れの物体がどのような運動をするかを考えてみてください。より厳密に解くには、そ
れぞれの物体に関する運動方程式を立てて解かなければなりません。この種の問
題の場合は、 二つの物体が同一平面上で円運動しているため、 極座標を使って
運動方程式を表現する必要があるかもしれません。機会があれば、発展編で説明
したいと思います。