地球の公転速度
太陽の周りを公転している地球の速度を計算してみましょう。 太陽の質量は地球
の質量に比べて非常に大きいので、地球は太陽の周りを円運動していると仮定し
ます。前ページの結果から、円運動をしている物体には必ず中心力Fが働きます。
F=mV2/ R
ここで、 mは地球の質量、Vは地球の公転速度、そしてRは太陽から地球までの距
離です。
地球の公転運動の場合は、太陽と地球間に働く万有引力が中心力になります。し
たがって、上記の式は以下のように書き換えられます。
mMG / R2=mV2/ R
ここで、Mは太陽の質量で、Gは万有引力の定数です。これを整理すると、
V2=MG / R
よって、地球の公転速度は以下のようになります。
V=(MG / R)1/2
上記の式から判るように、地球の公転速度は地球の質量には依存しません。
では、 実際に数値を代入して地球の公転速度を計算してみます。 計算には、以下
の数値を使いました。
太陽の質量: 2.0 X 1030 kg
万有引力の定数: 6.7X10−11N・m2/kg2
太陽・地球間の距離: 1.5 X 1011 m
ゆえに、地球の公転速度は約 3.0 X 104 m/sとなります。光の速度が 3.0 X
108 m/sとなりますから、地球は太陽の周りを光の速度の1万分の1の速度で公
転していることが判ります。
次に、地球の公転周期 T を計算してみます。 公転周期は以下の式で与えられま
す。
T=2πR / V
上記で得た数値をTの式に代入して計算すると、公転周期は 3.1 X 107 sとなり
ます。これを日数に直すと、約360日となります。
ガリレオ、コペルニクスそしてニュートンの時代に戻って、 上記で与えられた各種
の数値が判っていないものとしましょう。 どうすれば、地球の公転速度や公転周期
を求められるかを考えてみてください。受験問題とは異なり、いろいろな発想が必
要になります。 太陽の質量、地球の質量、太陽・地球間の距離などは、どうすれ
ば計算できるのでしょうか!?
本ページの内容に関する記事です。
(1)How Do You Weigh A PLanet ?
(2)Astronomers Weigh up Milky Way