円の周長を求める積分(もう一つの方法)
曲線の長さを計算する積分の一般公式を求めるために、 円の周長の計算を例に
とって考えてみましょう。前ページの計算法と同様に、微小な円弧ABの長さを微小
な線分ABで近似することを考えます(図1参照)。
微小な円弧の長さ: (ΔX2+ΔY2)1/2=ΔX{1+(ΔY/ΔX)2}1/2 (近似)
(Functionviewで作成)
微小な線分をすべて足し合わせて、積分の形で表すと、
L=∫{ 1+(dY/dX)2 }1/2 dX (曲線の長さを求める一般式)
となります。それでは、上の公式を使って円の周長を計算してみましょう。
円の方程式: X2+Y2=R2
上式の両辺を微分して、
2X dX+2Y dY=0 → dY / dX=−X / Y
よって、円の周長を求める積分式は、
積分式: L=4∫( 1+X2/ Y2 )1/2 dX
ここで、積分の範囲は0からRまでです。極座標に変数を変換して、積分式を計算し
てみます。
変換式: X=R COSθ Y=R SINθ
積分式: L=4∫(1+COS2θ/ SIN2θ)1/2(−R SINθdθ)
=−4 R∫dθ=2πR
積分の範囲は、π/2から0までです。 曲線の長さを計算する積分の一般式を使っ
て数値計算する場合、 曲線の傾きが大きい部分を積分範囲に含むときには注意
が必要です。誤差が大きくなって、解の安定性が悪くなります。
二次関数Y=X2の曲線の長さを計算してみてください。 Xの範囲は−2から2まで
とします。
円盤状の物体が平面上を転がるときに、 円周上の一点が描く軌道をサイクロイド
と言いますが、その軌道を表す式をパラメータ t を使って記述してください。円盤の
半径は1とします。 また、 円盤が一回転するときのサイクロイドの軌道の長さを求
めてみてください(図2参照)。ちなみに、円と楕円のパラメータ表示は次のようにな
ります。
円の軌道: X=r COS t Y=r SIN t
楕円の軌道: X=a COS t Y=b SIN t
(Functionviewで作成)
上記では、平面上で円盤を転がしましたが、大きな円盤の周上で小さな円盤を転が
してできる軌道をエピサイクロイドと言います(図3参照)。 この場合も、パラメータ
記述を求め、 点が元の位置に来るまでに描いた軌道の長さを計算してみてくださ
い。そして、円筒状のシリンダーの内壁を円盤が転がったときにできるハイポサイ
クロイドの場合も検討してみてください。
(半径比=4:1、Functionviewで作成)
下記の図は、ハイポサイクロイドの例です(図4参照)。
(半径比=4:1、Functionviewで作成)