ひもの問題(その1)
滑車の問題を考えましょう(図1参照)。 左右の定滑車の間に、動滑車が配置され
ています。それぞれの重りの質量はM1=M、M2=3M、そしてM3=2Mです。
滑車は質量が無視できなめらかに動きます。 また、ひもも質量が無視でき滑らず
に動くものとします。まず最初に、それぞれの重りに関する運動方程式を求めます
ただし、重力加速度はGとしました。
質量M1の重りに関する運動方程式(加速度の向きは上向き)は
M1A1=T1−M1G
質量M2の重りに関する運動方程式(加速度の向きは下向き)は
M2A2=M2G−T1
質量M3の重りに関する運動方程式は(加速度の向きは下向き)は
M3A3=M3G−T2
とそれぞれなります。これだけでは T1とT2の関係が判らないので、真ん中にある
動滑車に関する運動方程式(加速度の向きは下向き)を考えてみましょう。 この場
合は、滑車の質量を無視しているので加速度の項はなくなります。
0=T2−2T1
ここで、 それぞれの重りの高さの変化をX1、X2、X3( X1は上向き、X2とX3は下
向き )とすると、次の関係が得られます。
X2−X1=−2X3
よって、この式を時間に関して二回微分すると、
A2−A1=−2A3
となります。 これで未知数5に対して方程式が5つできました。後は、これらを連立
させて解けばいい訳です。
M1A1=T1−M1G
M2A2=M2G−T1
M3A3=M3G−T2
0=T2−2T1
A2−A1=−2A3
四番目の式を三番目の式に代入してT2を消去します。
M1A1=T1−M1G
M2A2=M2G−T1
M3A3=M3G−2T1
A2−A1=−2A3
一番目の式に二番目の式を、そして一番目の式を2倍して三番目の式を足してT1
を消去します。
M1A1+M2A2=M2G−M1G
2M1A1+M3A3=M3G−2M1G
A2−A1=−2A3
三番目の式をA2について解いて一番目の式に代入してA2を消去する。
(M1+M2)A1−2M2A3=(M2−M1)G
2M1A1+M3A3=(M3−2M1)G
一番目の式にM3をかけ二番目の式に2M2をかけ足すと、
(4M1M2+M2M3+M3M1)A1=(−4M1M2+3M2M3−M3M1)G
よって、
A1=(−4M1M2+3M2M3−M3M1)G / (4M1M2+M2M3+M3M1)
その他の式は、
A2=(4M1M2+M2M3−3M3M1)G / (4M1M2+M2M3+M3M1)
A3=(−4M1M2+M2M3+M3M1)G / (4M1M2+M2M3+M3M1)
T1=4M1M2M3G / (4M1M2+M2M3+M3M1)
T2=8M1M2M3G / (4M1M2+M2M3+M3M1)
となります。
A1の式にM1、M2、M3の各値を代入すると、
A1=(−12M2+18M2−2M2)G / (12M2+6M2+2M2)=G / 5
また、A2、A3、T1、T2については以下のようになります。
A2=3G / 5
A3=−G / 5
T1=6MG / 5
T2=12MG / 5
別な例を考えてみましょう。M1=M2=M、M3=2Mとすれば、
A1=0
A2=0
A3=0
T1=MG
T2=2MG
この例では、 両端にある重りの質量の合計が真ん中にある重りの質量に等しいた
め、 力がつり合って重りがまったく動かなくなります(正確には、 静止または等速
度運動となる)。
真ん中の動滑車に質量MKがあった場合はどうなるでしょうか!?