球に関する問題(その1)
平面上に半径1の三つの球を、互いに接するように置きます。 この三つの球の真
ん中にできた窪みに、 同じサイズの球をさらに載せます(図1参照、上から見た図)
。このとき、 平面から上の球の中心までの高さを求めてください(図2参照、横から
見た図)。 また、上の球と下の球の半径の比が2:1の場合はどうなりますか。そし
て、球A、球B、球C、球Dのそれぞれの半径の比が3:4:5:6の場合はどうでしょ
うか。
中学入試や高校入試における難易度の高い問題の大部分は、三次元的な(また
は立体的な)問題から出題されています。また、大学入試において、ベクトルや積
分の問題を解く上で、三次元的な思考能力は不可欠になっています。 そして、この
サイトにアクセスしている皆さんの多くは大学に進学されると思いますが、 特に理
系を目指されている方にとって三次元的な問題を解くことは、 大学で物質の構造
などを研究するための数学的な能力を養う一助にもなります。 どんどん、この種の
問題にトライしましょう。
上記の問題の結果をみると、 球Dについて少なくても他の六つの球と同時に接す
るようにできるみたいですが、さらに接する球の数を増やすことは可能でしょうか!
?接することができる球の最大数を求めてください。 また、そのときの幾何学的証
明はどうなりますか。 いきなり三次元的に考えるのではなく、 平面上に置かれた球
からスタートしてもかまいません(同一半径の円の問題に帰着される、図3参照)。
<平面上に置かれた球、上から見た図>
(Functionviewで作成)
上記の例では、真ん中にある球に接する周辺の球の最大数は6です。 真ん中の球
の中心から球の直径の長さに等しい半径を持つ円を考えます。 この円周上に別の
球の中心を置きます。さらに、この二つの球の中心から等しい距離にある三番目の
球の中心を円周上に取ると、 三つの中心座標を頂点とする三角形は図3の三角形
OABのような正三角形になることに注意してください。 同様にして、 四つの新たな
球を順番に付け加えると、真ん中の球は六つの球と密に接することが判ります。
一つの球に接する球の最大数をより高次元で考えてみてください。例えば、四次元
空間では接する球の最大数はどうなりますか。 さらに、五次元・六次元と次元数を
増やした場合についても議論してください。 但し、球の概念を一般化して考えてくだ
さい。二次元空間の球は円になります。