サッカーボールの骨組みの3D図
図1は正二十面体の一面の各辺を三等分し、 頂点に近い側の分割点同士をそれ
ぞれ直線で結んだ図です。これを各面に関して行うと図2のようになります。
AB=BC=CD=DE=EF=FG=GH=HI=IA
勿論、CE=FH=IB (=AB)も成り立ちます。点A及び点Dの座標値がそれぞれ
、(XA、YA、ZA)そして(XD、YD、ZD)であるとすると、点Bと点Cの座標値は点B
が辺ADを1:2に内分する点であり、一方、点Cは2:1に内分する点である為、
点B → ( (2XA+XD)/3、(2YA+YD)/3、(2ZA+ZD)/3 )
点C → ( (XA+2XD)/3、(YA+2YD)/3、(ZA+2ZD)/3 )
となります。 点E、点F、点Hそして点 I の座標値も点A、点Dそして点Gの座標値を
使って同様に計算できます。
<本来見えない部分にある辺や頂点は表示せず>
(図1、十進BASICによる3Dグラフィックス)
<本来見えない部分にある辺や頂点は表示せず>
(図2、十進BASICによる3Dグラフィックス)
次に図2において正二十面体の一つの頂点AをB-I-J-K-L-Bを結んだ線に沿っ
て切り離すことを考えます(図3参照)。 これを12の頂点全てに関して行ったものを
図4に示します。 各面を見ると、 正五角形と正六角形のみでできていることが判り
ます。また、各辺の長さも等しいことが判ります。所謂、サッカーボールの形状にな
っています。
<本来見えない部分にある辺や頂点は表示せず>
(図3、十進BASICによる3Dグラフィックス)
<本来見えない部分にある辺や頂点は表示せず>
(図4、十進BASICによる3Dグラフィックス)
課題(その1)
各辺の長さを1として、上記のサッカーボールの表面積そして体積を計算してくださ
い。また、内接球や外接球が存在する場合はその半径を求めてください。
課題(その2)
正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体に関しても、 同様の操作をして各頂
点を切り離すと二つの正多角形から構成された立体図形ができます。それらを3D
描画し、半径・表面積・体積を計算してください。但し、各辺の長さを1とします。
課題(その3)
上記の五つの立体図形に関して、 外接球が存在する場合はその図形の各頂点の
球座標値(θとφ)を求めてください。 但し、球座標の原点は外接球の中心と重な
るものとします。
課題(その4)
二種の正多角形からできる複合型正多面体の面構成・頂点数・辺数などを纏めて
一覧表を作成してください。これらの数を関係づける法則は存在しますか。
課題(その5)
サッカーボールの骨組みを3D描画するプログラムを作成してください。 図4をサッ
カーボールらしくする為に、 正五角形の内部に色(青)を付けてください(図5参照)
。
(図5、十進BASICによる3Dグラフィックス)
課題(その6)
上記の五つの立体図形に関して展開図を考えます。 それぞれ何種類の展開図が
存在しますか。
課題(その7)
複合型正多面体(その5)として、 正三角形と正五角形の組み合わせもあります。
切り離しの為の線を引いて、それを基に3D図を作成してください。
課題(その8)
煤の中から発見された炭素原子からできたフラーレン分子の研究はノーベル賞受
賞に繋がりました。 複合型正多面体(その5)の頂点数は60ですが、 C60の分子
構造との類似性を議論してください。 また、炭素原子は四つの結合手を持ちます。
下図のように、 桃色の部分が二重結合ならば、結合手の過不足は生じません。 こ
れが正しいか、 量子力学的に説明してください。 炭素原子は頂点の位置にあると
仮定します。 大学生・大学院生の方は、原子間の正確な距離や結合方向を計算し
て、元の複合型正多面体との違いを調べてください。
<裏側にある原子や結合は表示せず>
(図6、十進BASICによる3Dグラフィックス)
注意事項
複合型正多面体を区別するために、以下のようにネーミングして置きます。
複合型正多面体(その1) → 正四面体由来の複合型正多面体
複合型正多面体(その2) → 正六面体由来の複合型正多面体
複合型正多面体(その3) → 正八面体由来の複合型正多面体
複合型正多面体(その4) → 正十二面体由来の複合型正多面体
複合型正多面体(その5) → 正二十面体由来の複合型正多面体(サッカーボー
ルなど)